増刊号 細胞像の見かた―病理・血液・尿沈渣
第1章 病理 細胞像からここまでわかる
4.呼吸器
8)粘表皮癌
堀内 啓
1
,
荒井 政和
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.966-968
発行日 2004年9月15日
Published Date 2004/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100764
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臨床的特徴
粘表皮癌は,肺門部の主気管支や葉気管支などの太い気道に発生し,粘液を分泌する腺細胞,扁平上皮細胞,およびそれらの中間的な性格の細胞(中間型細胞)から成る腫瘍である.頻度は稀で,原発性肺癌の0.1~0.2%程度といわれている.若年者に好発し,約半数の症例では発症年齢が30歳以下である.太い気道の閉塞症状(咳,血痰,発熱)を示すことが多く,閉塞性肺炎を伴いやすいが,無症状のこともある.病理学的には,低悪性度と高悪性度との腫瘍に大別されるが,大部分は低悪性度の腫瘍で,全体の75~80%を占める.低悪性度の粘表皮癌では,リンパ節や他臓器に転移することは稀で,完全に切除されれば予後は良好である.
細胞像
【低悪性度粘表皮癌】
(1)粘液や細胞破砕物を含む背景
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