増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
1)血小板機能検査
A.検査法
(6)β-トロンボグロブリン,血小板第4因子
塚里 孝和
1
1鹿児島大学医学部第三内科
pp.161-164
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906505
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■測定の意義
β-トロンボグロブリン(β-thromboglobulin;βTG)と血小板第4因子(platelet factor 4;PF4)は,血小板のα顆粒に存在する血小板固有の蛋白質で,血小板以外の組織には存在しないことが指摘されており,血小板の活性化に伴い循環血中に放出される.
βTGは,81個のアミノ酸(分子量8,850)のサブユニットから成る四量体(テトラマー)で,血中の半減期は約100分と短く,主に尿中に排泄される.一方,PF4は血漿中では,70個のアミノ酸(分子量6,900)のサブユニットから成る四量体として存在し尿中に排泄されるが,ヘパリンに親和性が強く,α顆粒から放出された後,速やかに血管内皮細胞表面のヘパリン様分子に結合して循環血中から消失するため,半減期は測定不能なほどに極めて短いと考えられている1).したがって,βTGとPF4は,in vivoにおける血小板活性化のよい指標として有用な検査とされているが,両者を同時に測定することが重要である.
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