コラム
8;21転座
田中 由美子
1
1東海大学医学部附属病院臨床検査科
pp.1131
発行日 2002年9月15日
Published Date 2002/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906380
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病態と意義
t(8;21)(q22;q22)転座は,急性骨髄性白血病(acute myelocytic leukemia;AML)でFAB分類M2の40%にみられる染色体異常である.8;21転座のM2症例は,予後良好で形態学的特徴としては,アウエル(Auer)小体,ペルオキシダーゼ強陽性の骨髄芽球,骨髄好酸球増加,均一なサーモンピンクの顆粒,粗大な細胞質小体や空胞などが見られる.8;21転座の結果,8番染色体(8q22)上のETOまたはMTG8(myeloid translocation gene on chromosome8)遺伝子と21番染色体(21q22)上のAML1遺伝子が融合する.MTG8-AML1遺伝子からキメラ転写因子に翻訳され,キメラ蛋白質がAML1に抑制される骨髄系細胞に特異的なプロモーターの活性化を抑制し,骨髄系分化を抑制することが白血化に重要な働きをする.
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