技術講座 生理
肺機能検査の原理
山内 淑行
1
,
中村 雅夫
2
,
福田 隆広
3
1珪肺労災病院呼吸器内科
2珪肺労災病院
3珪肺労災病院検査科
pp.23-32
発行日 2002年1月1日
Published Date 2002/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906091
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新しい知見
スパイログラムと血液ガス分析は,換気機能やガス交換機能といった呼吸機能を総合的に評価する重要な指標である.利用に際しては基準値が必要であるが,多くの基準値予測式があり,これまで日本では施設によりまちまちに用いられてきた.欧米人の基準値が採用されることが多く,測定時の体位の違いや人種的体型の差,および高齢化率などの人口構成の違い,などの問題があった.このため1993年に日本胸部疾患学会肺生理専門委員会よりわが国独自の基準値が発表された.しかし,高齢者の割合が少ないこと,スパイログラムの表示を身長で割った値として出しているため国際的に身長と年齢の関数として計算している出し方ではないことなどから,この基準値はわが国のスパイロメーター各機種には採用されていない.
基準値は経年的に身長と寿命も変化しているため,2001年4月同委員会より新たな基準値が報告された.これによると日本人の墓準値は従来の欧米人の基準値と比し,人種的体型の差にもよるか,肺活量で10〜15%高値を示すことが明らかになった.今後,新しい基準値を基に呼吸機能障害を判定していくことになる.
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