トピックス
羊水染色体検査と倫理
吉岡 貞子
1
1関西医科大学医院検査部
pp.1309-1311
発行日 2001年10月1日
Published Date 2001/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906037
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はじめに
先天異常の胎児診断を目的とした羊水染色体検査は出生前診断の代表的な検査で,わが国では1968年に初めて導入された.当初は危険率の高さや検査技術の修得の難しさなどから限られた施設での診断方法であった.その後,超音波断層法の診断精度の向上や検査技術方法の改良などによってより安全に安定した結果が得られるようになり,多くの施設での診断が可能になった.検査センターでの受託も条件付きで行われている.1997年の厚生省心身障害研究の調査1)でも実施件数の増加が報告されている.しかし,出生前診断は倫理的および社会的に複雑な問題を抱えていることが指摘されている.本検査を担当しているわれわれ技師は羊水細胞を培養し,その染色体の分析結果を提供しているが,出生前診断の特殊性を理解し精度の高いデータの提供に努めなければならない.
経験の乏しい筆者であるが,その経験を踏まえて当施設での羊水染色体検査のシステムについて概説する.
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