臨床検査に必要な統計処理法・21
臨床検査の許容誤差限界と性能目標—検査結果判読基準の技術的精度保証
細萱 茂実
1
1山梨医科大学医学部附属病院検査部
pp.1213-1216
発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906010
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はじめに
信頼性の高い検査データを提供することが臨床検査室の使命である.一方で信頼性を損なう主要原因の1つが測定誤差であり,誤差を皆無にすることが不可能な現実もある.そこで,極力性能が高い誤差の小さな検査法を用い,検査精度を常に監視しながら日常検査を遂行することになる.その際,臨床的に許容しうる誤差の限界あるいは目標が設定できれば,運用の効率化につながる.許容誤差限界に関たては,歴史的にいくつかの考え方が提唱されている.臨床的有用性に基づき医学的意思決定濃度における経験的限界値を定める方法,現在の技術水準(state-of-the-art)に基づき現実的に望まれる目標値を定める方法,生理的変動幅に基づきそれから観測可能な誤差の限界値を定める方法などである.それらの中で,生体の最も基本的かつ恒常的な変動成分である健常者の生理的変動の観測に,測定誤差が与える影響を検討する立場から,検査結果の判読基準を技術的に保証するための誤差限界について考える.
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