Laboratory Practice 〈生化学〉
日常検査データの精度保証を目的とした「臨床検査精度保証教本」の活用
細萱 茂実
1
1香川県立保健医療大学大学院保健医療学研究科臨床検査学分野
pp.127-130
発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103449
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はじめに
臨床検査データは,疾病の診断・治療・予後の判定,また健康を維持・増進するヘルスケアに活用される.それら臨床検査データは医療施設や健診施設など,どこで測定しても測定値の精確さ(正確さと精密さ)が保証されていることが求められる.この目的達成のため,臨床検査データの標準化が不可欠となる.標準化されたトレーサビリティ連鎖の基盤のもとで,長期的・継続的に測定値の精確さを維持・管理し,基準範囲や病態識別値の広域的な共有が可能となる.
従来の臨床検査データ標準化活動は,外部精度評価(精度管理調査)と内部精度管理がその主体であり,測定値の施設間差や施設内変動の是正を目的に進められてきた.それら活動の重要性は不変であるが,これからは加えて測定対象に関するトレーサビリティ連鎖を軸とし,上位の標準物質や基準測定操作法から適正に値を伝達し,その結果として施設間・施設内の正確さ・精密さを確保し信頼性を保証することが必要となる.
社団法人日本臨床衛生検査技師会(日臨技)より出版された「臨床検査精度保証教本(以下,精度保証教本)」1)は,全国規模で実施した臨床検査データ標準化実践事業2)で活かされた標準化や精度保証に対する考え方や手順が解説され,日常検査データの精度保証の実現に必要となる知識や技術が網羅されている.
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