増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
4.多糖類の日常染色法
アルシアン青染色
田村 邦夫
pp.701-703
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905864
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アルシアンブルーは酸性粘液多糖類のカルボキシル基,あるいは硫酸基と結合して酸性粘液多糖類を染め出す.pH2.5の染色液では,カルボキシル基や硫酸基を有する酸性粘液多糖類を染め,pH1.0の染色液では硫酸基を有する酸性粘液多糖類のみを染める.このように,アルシアン青染色(Alcian blue stain)では染色液の水素イオン濃度によって染色される酸性粘液多糖類が異なってくる.酸性粘液多糖類はカルボキシル基を有するヒアルロン酸と硫酸基を有するムコイチン硫酸,コンドロイチン硫酸,ケラト硫酸,ヘパリンなどに分類されている.組織成分から見ると,酸性粘液多糖類は腺上皮細胞から分泌される粘液,軟骨,肥満細胞の顆粒,細胞膜表面のsurfacecoat,結合織や支持組織の細胞間物質として生体に広く存在している.したがって,アルシアン青染色陽性を示す腫瘍細胞は,これらの組織成分を発生母地とする腫瘍細胞の由来の推定や腫瘍細胞の粘液の証明など,鑑別診断の一助となっている.
また,組織化学的な酸性粘液多糖類の鑑別方法は酵素の基質特異性を利用して,酸性粘液多糖類を消化後にアルシアン青染色を行う.その染色性の有無から酸性粘液多糖類を推定し,詳しく分類するときにも用いられる.
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