増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
4.多糖類の日常染色法
アルシアン青pH2.5-PAS重染色法
羽山 正義
,
百瀬 正信
,
石井 恵子
pp.704-707
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905865
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
目的
アルシアン青pH 2.5-PAS重染色法(Alcianblue pH2.5-periodic acid Schiff stain;AB-pH2.5-PAS stain)は,酸性基と近接水酸基の両者を同一切片上で検出する方法である.本法で検出対象となる主な組織内物質としては,上皮性粘液細胞の分泌するシアロムチンやスルフォムチンなどの糖蛋白質,間質組織の構成成分として存在するコンドロイチン硫酸,ヘパラン硫酸あるいはケラタン硫酸などのプロテオグリカンである.糖蛋白質は粘液細胞の分泌するムチンをはじめ,刷子縁,II型肺胞上皮,線毛上皮などのapicalplasma membraneで特に発達している糖衣(glycocalix=cell coat)や基底膜の主要構成成分であり,プロテオグリカンは結合組織,軟骨,滑膜,椎間板,心弁膜,大動脈壁,臍帯などに特に存在する.
病理組織診断におけるこの重染色法は,これらの組織から発生する腫瘍組織がそれぞれの組織に特有な形質を受け継ぐ可能性が高いことから,上皮系の腫瘍で腺癌が疑われる場合の腫瘍細胞の含有するムチンの検出や刷子縁の有無の確認のために行われる.同時にPAS染色(preriodic acid Schiff stain)によって染色される基底膜の所見から腫瘍細胞の浸潤程度の確認にも利用される.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.