増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
2.結合組織の日常染色法
b)弾性線維の染色法
レゾルシン・フクシン染色
舘林 妙子
,
篠田 宏
pp.658-661
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905848
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目的
レゾルシン・フクシン染色(resorcin-fuchsinstain)は弾性線維の確認に用いられ,通常,結合線維染色法であるエラスチカ・ワンギーソン染色(elastica-van Gieson stain)に利用されることが多い.
弾性線維(エラスチン)は,詳細は不明であるが,プロリン,グリシンに富む黄色の線維状糖蛋白(70kDa)で,低分子球状蛋白のプロエラスチンとして細胞から分泌され,トロポエラスチンを経てエラスチンとなる.さらに,このエラスチンの表面に酸性の糖蛋白(ミクロフィブリル)である10nm径の原線維(フィブリリン)が強固に結合して弾性線維を成している.これらは通常,強い酸性を示すカチオン(陽荷電物質)を有するため,アルコール存在下の酸性色素(特にcationic dye)に選択的に染色される.また,鉄塩の存在やクロム化によって好塩基性を示し,塩基性色素(レゾルシンの有無に無関係)に染色される.エラスチンの明らかな特徴は,煮てもゲラチンを作らず,エラスターゼにより消化される点である.
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