Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
呼吸器(4) 小細胞癌
堀内 啓
1
,
荒井 政和
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断科
pp.1530-1532
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905684
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臨床的特徴と分類
肺に発生する小細胞癌は,神経内分泌系(Kulchitsky細胞)への分化を示す腫瘍で,全肺癌の15〜25%を占め,小型でN/C比が高いことが特徴である.好発年齢は40〜60歳台が多く,男女比は4〜5:1で男性に多い.喫煙との相関は扁平上皮癌に次いで強いとされている.化学療法,放射線療法の感受性が非常に高い腫瘍であるが,再発の確率が高く,最も予後の悪い悪性腫瘍の1つでもある.最近では,集学的治療の成果により,発見が早ければ30%程度の5年生存率が得られる場合がある.小細胞癌はイートン・ランバート(Eanton-Lambert)症候群や,ACTH,カルシトニン,セロトニン,抗利尿ホルモンなどの生理活性物質の分泌による種々の傍腫瘍症候群(paraneoplastic syndrome)を起こすことがある.
旧WHO分類で,小細胞癌は燕麦細胞型,中間細胞型,混合型燕麦細胞癌の3亜型に分類されていたが,亜型分類の再現性が低く臨床経過との関連性が乏しいことから,新WHO分類では小細胞癌の亜型分類は削除され,特殊型として混合型小細胞癌が記載されるのみとなった.わが国の肺癌取り扱い規約では,燕麦細胞型と中間細胞型に分類されているが,将来的には新WHO分類に準じた方向に改定される可能性がある.
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