Laboratory Practice 病理 細胞像からここまでわかる
呼吸器(8) 粘表皮癌
堀内 啓
1
,
荒井 政和
1
,
松谷 章司
1
1NTT東日本関東病院病理診断部
pp.1194-1196
発行日 2001年9月1日
Published Date 2001/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906003
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
臨床的特徴
粘表皮癌は,肺門部の主気管支や葉気管支などの太い気道に発生し,粘液を分泌する腺細胞,扁平上皮細胞,およびそれらの中間的な性格の細胞(中間型細胞)からなる腫瘍である.頻度はまれで,原発性肺癌の0.1〜0.2%程度といわれている.若年者に好発し,約半数の症例では発症年齢が30歳以下である.太い気道の閉塞症状(咳,血痰,発熱)を示すことが多く,閉塞性肺炎を伴いやすいが,無症状のこともある.病理学的には,低悪性度と高悪性度の腫瘍に大別されるが,大部分は低悪性度の腫瘍で,全体の75〜80%を占める.低悪性度の粘表皮癌では,リンパ節や他臓器に転移することはまれで,完全に切除されれば予後は良好である.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.