増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 5 凝固・線溶検査
5.特殊検査
10)Dダイマー
片桐 尚子
1
1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
pp.897-900
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905503
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検査の目的と意義
Dダイマーは架橋化されたフィブリンのプラスミンによる分解産物であり,二次線溶を反映する分子マーカーの代表的検査である.
凝固過程の最終産物であるフィブリノゲンにトロンビンが作用するとフィブリンモノマーが生成され,フィブリンモノマーは重合してフィブリンポリマーとなる.フィブリンポリマーはトロンビンによって活性化された第XIII因子(F XIIIa)とカルシウムイオンの作用で強固な安定化した架橋化(cross-linked)フィブリンポリマーとなる.架橋化フィブリンにプラスミンが作用すると,高分子の中間分解産物を経て,DD/E複合体が生成され,最終的にDダイマーとE分画となる(図1).したがって,血中Dダイマーの高値は生体内にフィブリン血栓が存在し二次線溶が亢進していることを意味し,播種性血管内凝固症候群(DIC)や血栓性疾患の病態把握,血栓溶解療法の治療効果のモニタリングなど臨床的に測定意義がある.
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