増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 5 凝固・線溶検査
4.ルーチン検査
1)検査の実際 e)トロンボテスト
国分 まさ子
1
,
鈴木 節子
2
1横須賀共済病院中央検査科
2止血検査学研究会
pp.847-850
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905488
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検査の目的と意義
トロンボテスト(TT)は,第II・VII・X因子活性およびPIVKA(protein induced by vitamin K absence or antagonist)による阻害反応を特異的・総合的にとらえる検査である.TTはビタミンK欠乏状態の検出および経口抗凝血薬療法の指標のために,当時行われていたプロトロンビン時間(PT)より安定性と特異性に優れた方法として1959年にオーレンにより考案された方法である1).経口抗凝血薬療法で用いられるクマリン系抗凝血薬は,ビタミンK依存性の因子が産生される際に必須のビタミンKに分子構造が極めて類似しているために競合して取り込まれ,人工的なビタミンKの不足環境により正常な因子の産生が低下し,同時にPIVKAが産生される.PIVKAは凝固活性能がなく,むしろ正常な因子が作用する際に競合して阻害する.
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