技術解説
トロンボテスト
勝見 乙平
1
KATSUMI OTOHEI
1
1名古屋大学医学部日比野内科
pp.437-441
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916770
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はじめに—抗凝血薬療法について
抗凝血薬療法とは,血栓症あるいは心筋梗塞症等におけるがごとく血管が閉塞したために,その生理機構に支障を来している患者の血液凝固能を薬物によって人工的に低下せしめて血管閉塞の増悪を防止し,一方その生体の線維素溶解能によって閉塞した血管の再開を期待し,以って原病を治癒に導びかんとする方法である。短期間の抗凝血薬療法はすでに十数年前から施行されており,現在ではその方法も相当に確立されて来ているが,長期間にわたる抗凝血薬療法は1957年ごろから試みられ始めた方法で,そのコントロールの方法および治療域(出血症状を生ずることもなく安全に,しかも長期間にわたって原病の再発を免がれるためにはどの程度まで患者の血液凝固能を低下せしめればよいかという範囲)に関してはなお多くの問題が残っている。現在,抗凝血薬療法施行に際して患者の凝固能を把握するために用いられている方法は全血凝固時間(Lee-white法,特にヘパリン使用時に適応),プロトロンビン時間(Quick法),プロトロンビン—プロコンバーチン試験(Owren法),トロンボプラスチン—スクリーニング試験(Hicks-Pitney法およびその変法),トロンボテスト(Owren法)等であるが,今回はそれらのうち,トロンボテストについて述べたい。
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