増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 5 凝固・線溶検査
4.ルーチン検査
1)検査の実際 d)フィブリノゲン
岡村 啓子
1
1京都大学医学部附属病院検査部
pp.844-846
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905487
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はじめに
フィブリノゲンは,凝固過程の最終段階にトロンビンによってフィブリンに転化する分子量34万の糖蛋白である.A(α)鎖,B(β)鎖,γ鎖の3種類のポリペプチドがS-S結合したものが対をつくっている二量体であり,トロンビンが作用すると,A(α)鎖,B(β)鎖のN末端からフィブリノペプチドA,Bが遊離し,(α,β,γ)2からなるフィブリンモノマーが生成される.このモノマーが重合してポリマーとなり,さらに活性化第XIII因子により安定化フィブリンに転化する.フィブリノゲンは,熱に不安定で,56℃,30分間で完全に変性し,pH9.5以上で凝固活性を失う.等電点はpH6.5で,電気泳動でβ-グロブリンとγ-グロブリンの間の易動度を持つ.肝実質細胞で産生され,血中(約80%)および組織液(約20%)に分布する1).血中半減期は100〜150時間である2).
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