トピックス
2種類のベンスジョーンズ蛋白を伴う髄外性形質細胞腫
十良沢 勝雄
1
1昭和大学医学部附属病院臨床検査部
pp.305-307
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905328
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ベンスジョーンズ蛋白とは
ベンスジョーンズ蛋白(Bence Jones protein;BJP)1)は,1848年にイギリスの法医学者であったHBence Jonesにより報告された異常蛋白である.彼は尿中蛋白を検出している最中に56℃付近で一度凝固・白濁するが,さらに100℃付近まで加熱すると再溶解する異常蛋白を見いだしたのである.このBJPの特性は現在でもBJPの検出に利用されている.すなわち,被検尿検体を56℃付近まで加温し,尿が白濁するのを確認する.続いて,さらに100℃まで加熱して直ちに濾過する.このとき,通常の蛋白は濾紙上に除去され,BJPは再溶解しているので濾液に濾過される.この濾液を56℃付近まで冷却したときに白濁すればBJPが陽性と判定できる.
発見以降種々の検索が行われ,BJPの本態が免疫グロブリンのL鎖の二量体であることが明らかとなった.このため,現在ではスクリーニング検査としては熱変性試験がまず行われ,続いて免疫学的な検索が行われている.すなわち,抗L鎖抗体を用い,免疫電気泳動法や免疫固定法により,これら抗体による異常沈降線や固定帯を検出して,特異的にその存在を検出するものである.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.