日常染色法ガイダンス 組織内病原体の日常染色法—真菌の染色法
グリドリー染色
田口 勝二
1
1東邦大学医学部付属大橋病院病理部
pp.1405-1408
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543904015
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目的
組織標本で真菌症を診断するには,病巣組織内から真菌要素を検出する必要がある.また,真菌は細菌より大きく形態に特徴があることが多いので,標本上で病原真菌の菌種の推定が比較的容易である.グリドリー染色は組織標本上で真菌を染めるのに適した方法の1つである.
本染色法は,真菌の細胞壁の主成分である中性多糖体のキチンをクロム酸で酸化し,生じたアルデヒド基をフォイルゲン液またはシッフ液を用いて呈色.その後,アルデヒド・フクシンで弾性線維を,またメタニール・イエローで背景を染めることにより,組織構築と菌要素を見やすくした方法である.ムーコルなど,菌種によっては菌要素の染色性が弱く,観察に適さない欠点も指摘されている.しかし,この染色性の強弱も菌種の1つの特徴であり,対照や他の染色法を併用することにより,菌種の推定の一助になる.
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