技術講座 血液
白血病診断のための染色体検査
橋本 達也
1
,
河治 康則
2
1深谷赤十字病院検査部
2市立旭川病院中央検査科
pp.1165-1173
発行日 1999年9月1日
Published Date 1999/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903967
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新しい知見
白血病の染色体異常はt(9;22)(q34;q11)やt(8;21)(q22;q22),t(15;17)(q22;q12〜21)などに代表されるが,近年,新しい染色体異常も続々と報告がなされ,1つの疾患単位として確立されようとしている.T細胞性の悪性リンパ腫ならびに好酸球増加を背景とした骨髄増殖性疾患に見られるt(8;13)(p11;q12)やt(8;9)(p11;q32)などの8p11異常1),小空胞やペルゲル様の核を有する好中球を特徴とした急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)に見られるder(17)t(5;17)(p11;p11)2)あるいはdic(5;17)(q11;p11)3)などである.
一方,白血病へのFISH法の導入は,染色体分染法では発見できなかった小児の急性リンパ性白血病(ALL)でのt(12;21)(p13;q22)を明らかにし,また治療面においては,化学療法後ならびに骨髄移植後の微小残存病変の正確な検出を可能とした.今後,染色体検査は,白血病の発病機構の解明に向け,ますます重要な意義を持つものと考えられる.
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