増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅳ.ベッドサイドトラブル対処法
院内感染
田中 一志
1
,
岡田 弘
1
,
守殿 貞夫
1
Kazushi Tanaka
1
,
Hiroshi Okada
1
,
Sadao Kamidono
1
1神戸大学大学院医学系研究科器官治療医学講座腎泌尿器科学分野
pp.242-246
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904613
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1 はじめに
院内感染にはさまざまなタイプがある。MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)や多剤高度耐性緑膿菌のようにもともと院内で発生し,伝播されるもの,手術創など宿主の生体防御機構の障害のため感染が起こるもの,はしかやインフルエンザのように感染性の強い病原体による市中感染が持ち込まれて集団生活の場である病院内で広がるもの,HBV, HCV, HIVのように血液,体液などで汚染された針や器具,製剤による感染などが挙げられる。通常患者にみられた感染症を指す場合が多いが,針刺し事故による感染のように医療従事者が感染した場合も含まれる。
入院前に感染し,潜伏期間中に入院したような場合は入院中に発症した感染症でも院内感染には含めない。感染の起こった場所が医療機関内であるかどうかに重点が置かれている。感染症のなかには潜伏期の長いものもあるが,一般細菌による感染症は通常48時間以内に症状を出すことが多いので,入院3日目以後に発症したものを院内感染と判断する場合が多い。逆に,入院中に感染し,退院後発症したものは市中で発症しても院内感染である。
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