ほっとコーナー
緊急検査業務を行うコツ
米田 孝司
1
1国立循環器病センター臨床検査部
pp.715
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903832
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緊急検査は看護婦との接点が一番多く,トラブルが生じやすい.幸か不幸か私もトラブルが原因で手術室の看護婦と結婚するに至った.また,当センターでは24時間体制となっており,専任者以外の検査技師も輪番制で日・当直の緊急検査を行うので,機械のトラブルや普段遭遇しないパニック値を経験する.したがって,いかに他部門とコミュニケーションをとったり,機械トラブルが生じたときに早急に対処できるかが,日・当直の緊急検査業務を行う技師の能力でありコツである.もちろん,間違いのない検査値を報告することは当たり前であるが,緊急検査ではヘパリン加血漿を試料として使用したり,日常検査と測定方法が異なったりすることにより測定値間差が生じることがある.もし,誤った値を時間外に報告した場合,日中の専任緊急検査担当者はその原因が何か推理し,名探偵にならなければいけないときがある.
例えば,10年ほど前までは緊急検査の採血管は分離剤のない10ml用ヘパリンリチウム採血管を使用していたために,次のようなことが起こった.前回AST,ALT,LDが正常であったのが,当直時にASTが若干高値,LDが異常高値を示し,また日勤時には正常化した.そこで当直時の検体を調べると,溶血でなく血漿が薄く不透明な状態になっており,遠心不十分による血小板の浮遊が考えられたので,再遠心後の結果を報告した.これは測定試薬中に界面活性剤が添加されているか否かによって影響度は異なる.
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