増刊号 緊急検査実践マニュアル
総論
1.緊急検査とは
大久保 昭行
1
1大蔵省印刷局東京病院
pp.644-646
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903809
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緊急検査の意義
ショック,意識障害,激しい痛みなどの症状がある場合には,緊急に適切に治療を行わなければ,患者の苦しみが大きい,あるいは予後が悪くなる恐れがある.このような患者に対しては,呼吸や血圧など,生命の維持に必要な救急処置を行いながら,速やかに病因や病態を調べ,合理的な治療手段を選択し,治療を開始し,治療効果をモニターする必要がある.緊急な対応が必要な重症患者に対して,対応を間違えないよう,手遅れにならないように即時に行う検査が緊急検査である.したがって,緊急検査は検査結果の信頼性だけでなく,検査時間が重要な要素になる.できれば即座に,遅くとも救急救命処置を行っている時間(30分)内に,検査結果が報告されるよう求められている.重症患者では,脈拍,血圧,呼吸数,動脈血酸素飽和度,心電図,尿量などはベッドサイドで連続的にモニターされているが,これらのモニター検査は,通常,検査室で行う緊急検査には含めない.
病態がわからなければ合理的な治療はできない.緊急治療が必要な重症患者でなくても,急激に症状が変化している患者については,患者の病態を速やかに調べ,その結果をもとに合理的に治療方針を立てる必要がある.このような外来診療中に行う検査は,緊急検査と区別して迅速検査と呼ぶ.迅速検査の対象は,主として急性疾患の外来患者であり,1時間以内に検査結果が得られることが求められている.
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