技術講座 一般
結石分析
原 弘
1
1株式会社エスアールエル研究検査部
pp.117-126
発行日 1999年2月1日
Published Date 1999/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903711
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新しい知見
結石は溶解性の低い生体成分の体内濃度が高まり結晶化することにより形成される.しかし,必ずしも生体成分のみが結石の成因となるわけではない.ときとして本来治療に使用された薬物自体が結石の構成成分となる場合がある.再発防止のためには薬物治療の方針を変更する必要があり,結石中の薬物を同定することは臨床的に重要である.結石を赤外分光分析法で測定し,いずれの生体成分とも一致しないスペクトルが得られた場合は薬物結石を疑うべきである.こうした場合は患者の投与薬物を結石と同様に分析し,得られたスペクトルを結石のスペクトルと比較してみることが必要である.もちろん薬物自体ではなく,その代謝物が結石となりうる場合もありうる.
現在までにトスフロキサシン(抗菌剤),ケイ酸(ケイ酸マグネシウム;制酸剤),サルファ剤,トリアムテレン(利尿剤)などで薬物を含む尿路結石が発生することが報告されている.
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