技術講座 一般
尿沈渣結晶と尿路結石の分析
真重 文子
1
1東大病院中検
pp.70-71
発行日 1974年11月1日
Published Date 1974/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200632
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1.尿沈渣結晶
尿沈渣にはいろいろな結晶が見られる.その主なものはシュウ酸カルシウム,尿酸,尿酸塩,リン酸アンモニウムマグネシウム,リン酸塩,炭酸塩などであるが,服用している薬剤の結晶を見いだすこともある.結晶を作る物質,すなわち晶質の尿における溶解度は水溶液の場合よりもはるかに高い.たとえばシュウ酸石灰は尿中では水中よりも1,000倍もよけいに溶ける.尿中における晶質のこのような高い溶解は,尿中にある膠質の保護作用や,尿中の有機・無機物質が晶質と可溶性の複塩を作るためと考えられている.しかし尿中で晶質が過飽和の状態になると,尿中に存在する多くの物質が核となって晶質は析出し結晶を作り,さらに成長して結石となる.
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