増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第VIII章 新しい技術
2.染色体検査
大橋 龍美
1
1(株)エスアールエル遺伝子染色体解析センター
pp.345-349
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903548
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はじめに
染色体検査は1956年にTjioとLevan1)がヒトの染色体構成を決定して以降着実に進歩を遂げてきている.1971年にはCasperssonら2)のQ分染法の開発により24対のヒト染色体をすべて識別できるようになった.その後,G-,C-,R-,N-分染法などさまざまな分染法が開発された.これにより慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia;CML)に特異的なPh(フィラデルフィア)染色体は9番染色体と22番染色体の相互転座に由来することや,ダウン症患者に認められる過剰染色体が21番染色体であることなどがわかってきた.1978年にはYunis3)が高精度分染法を開発した.その後より簡便な方法も開発され,今まで発見できなかった微細な欠失が発見されたり,より詳細な切断点が解析されるようになってきた.
1980年代半ばになるとFISH(fluorescence in situhybridization)法が開発された.これにより形態学である染色体検査においても遺伝子レベルでの解析が可能になった4).現在では多くのプローブが市販されるようになり,染色体検査で必須の汎用技術になっている.
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