増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第II章 組織学的検査
2.検体
2)検体の受付と処理
f)染色法[10]内分泌細胞(細胞内顆粒)の染色法
広井 禎之
1
1防衛医科大学校病理学第1講座
pp.133-135
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903475
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■膵島細胞
1.グリメリウス法(好銀性細胞の染色)
1)染色目的と原理
グリメリウス法は1968年にGrimeliusによって膵島α細胞(グルカゴン分泌)を染め出すことを目的として発表された染色法である.本法は膵島のα細胞のほか,甲状腺C細胞,下垂体前葉細胞,副腎髄質細胞の一部,消化管銀親和細胞およびメラニン保有細胞などが染まる.また,上記細胞由来の腫瘍細胞も陽性を呈するが,陽性細胞の割合や染色強度は症例によりさまざまである.陽性部位は黒〜茶褐色で,細胞質内に細顆粒状に染色される.背景は若干褐色を呈し,ケルンエヒトロートで核染色が施される.なお,ホルモンの同定には免疫組織化学染色の併用が望ましい.
グリメリウス法の原理は低濃度(0.03%)の銀イオンを弱酸性(pH5.6)の溶液下で細胞内に取り込ませ,還元液(ハイドロキノン,亜硫酸ナトリウム)で還元し,銀イオンを析出させることで,好銀反応(argyrophile reaction)と呼ばれている.
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