増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第II章 組織学的検査
2.検体
2)検体の受付と処理
a)固定法
山本 格士
1
,
鳥居 良貴
2
1兵庫医科大学病院病理部技術課
2兵庫医科大学病院病理部病理室
pp.89-93
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903461
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はじめに
手術標本はできるだけ新鮮な状態で観察を行い,かつ速やかに固定に移らなくてはならない.採取された瞬間から組織は水解酵素の作用により死後変化(自家融解)が始まり,組織の腐敗が進行する.したがって,生存時になるべく近い状態で細胞や組織の構造をとらえるためにも迅速な作業が求められる.標本の良し悪しは固定によって決まるといっても過言ではなく,たとえ他の過程で最善を尽くしても,固定がまずければ決してよい標本は得られない.目的にかなった固定法を厳守することにより,パラフィン切片でヘマトキシリン・エオジン(HE)染色はもちろん,一般特殊染色,酵素抗体法,戻し電顕を行ったり,脱灰しても組織への影響が少なく,一定したデータを得ることができる.何よりも染色結果がきれいである.
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