増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第II章 組織学的検査
1.組織学的検査の意義
山本 格士
1
,
鳥居 良貴
2
1兵庫医科大学病院病理部技術課
2兵庫医科大学病院病理部病理室
pp.86-87
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903459
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病理組織学的検査とは
病理組織学的検査法とは,生体の一部から摘出した未固定組織の肉眼所見の十分な把握と分析に始まり,続いて組織の固定,固定後の所見観察,切り出しと続き,顕微鏡標本が作製される.さらにこれらを鏡検した病理医が,臨床情報との総合的評価のもとに病理組織学的診断を下すまでの過程をさす.この診断によって臨床医が治療方針を決定して患者への治療を施行していく(図).
最近の病理組織診断では,従来の一般特殊染色,蛍光抗体法,電子顕微鏡や血清学的診断を中心とした腫瘍マーカーの検索だけでなく,組織や細胞レベルの腫瘍マーカーの開発が進んでいる.これはモノクローナル抗体を軸とする細胞工学であり,さらには近年,爆発的な進歩を遂げている遺伝子工学の手法により,腫瘍の分子レベルでの知見は非常な勢いで増加し,病理学に大きな変化を起こしつつある.
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