講座 検査技術者のための臨床病理学講座4
血液形態学的検査の臨床的意義(1)
日野 志郎
1
HINO SHIRO
1
1東京逓信病院内科
pp.730-733
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916812
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.病気による血液の変化
血液は全身をめぐり,各臓器が生きていくうえに必要なはたらきをしている関係上,それら臓器に変調があると,その原因あるいは結果として,これを敏感に反映する。したがって,血液の変化から逆に各種臓器の変調を知ることができるので,血液の検査には大きな意義がある。
しかし,血液といっても,赤血球,白血球,血小板のような有形成分と,血漿と呼ばれる液状成分からなっており,液状成分に関する変化については,生化学,血清学,血液凝固学などで扱うので,ここでは言及しない。
血液の有形成分についての検査が形態学的検査であり,これを真に理解するためには,有形成分がどこでどのように作られ,どんな形ではたらき,どのように死滅していくかを知らねばならない。このような移り変わりを血球回転(hemocytokinetics)と呼び,これについての知識はしだいに集積されつつあるが,まだ発展の途上にあることでもあり,最小限の記述にとどめておくことにする。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.