増刊号 病理組織・細胞診実践マニュアル
第I章 病理学総論
7.運動器 1)骨・関節
辻 香織
1
,
今村 哲夫
1
1帝京大学医学部病院病理部
pp.56-58
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903453
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はじめに
骨は一見無機質に思われがちであるが,生きた組織で活発な代謝(骨吸収と新生)が行われている.例えば成長期の大腿骨では新旧骨組織の交代に2年とかからず,また成人の場合でも全骨格の3〜5%は常に置き換わっている.このように一生にわたって行われる骨の形成と吸収の過程,これに伴う骨の構造と形の変化を,病的状態を含め骨改変(リモデリング;remodeling)という.
骨・関節疾患の診断においては,他臓器の疾患に比べ,年齢特異性や発生部位特異的な疾患があるため,臨床情報がより重要となる.また画像所見が診断のキーポイントとなることが多く,病理組織学的な診断のみでは誤診を招来することがまれでなく,整形外科および放射線科との密接な関係が正確な診断のための必要十分条件である.
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