病気のはなし
BOOP
森 憲二
1
1東邦大学医学部附属大橋病院呼吸器診断部
pp.200-205
発行日 1998年3月1日
Published Date 1998/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903357
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新しい知見
本来,剖検時の病変所見の多くは非可逆的な形態を示し,臨床経過上の一過性病変を示すとは限らない.気管支鏡下肺生検は可逆的な肺陰影の形態所見を不十分ながらよくとらえてきた.そのような背景で,“器質化肺炎”という病理学的所見の中には,遷延する肺炎像をはじめ,末梢気道の閉塞や胞隔炎と線維化などの多彩な所見を伴っている例のあることが,気管支鏡下肺生検を駆使して多くの臨床経過と対比されて明らかとなった.こうしてBOOPという疾患概念は,遷延する陰影と病変を示し,かつガス交換障害が強く,ときには出没する肺炎像の形態所見として器質化肺炎と閉塞性細気支炎を伴う1つの疾患として確立された.しかもステロイド剤によく反応する.BOOPもまたリポイド肺炎など類似の疾患の中で理解されている.
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