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出血性大腸菌O157腸炎の超音波像
渡辺 智裕
1
,
冨田 周介
1
,
藤堂 彰男
1
,
簔輪 和士
2
,
岩崎 信広
2
,
曽我 登志子
2
,
田村 周二
2
,
杤尾 人司
2
,
森本 義人
2
,
黒川 学
3
1神戸市立中央市民病院消化器内科
2神戸市立中央市民病院腹部超音波検査室
3神戸市環境保健研究所
pp.81-83
発行日 1998年1月1日
Published Date 1998/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903326
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はじめに
腸管出血性大腸菌の発見の契機となった食中毒事件は1982年に米国オレゴン州で発生した.この食中毒の推定原因食はハンバーガーで,Rileyら1)がEscherichia coli O157:H7による出血性大腸炎として初めて報告した.わが国においても,1996年の夏,全国で腸管出血性大腸菌O157:H7による感染者が多発し,大きな社会問題となった.O157腸炎が既存の腸炎と大きく異なる点は溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome;HUS)と意識障害などの重篤な合併症の存在である.
O157腸炎は通常,便からの培養法または便からのPCR(polymerase chain reaction)法においてO157を直接検出することにより診断されている.ほかに,抗O157抗体を用いた血清診断も臨床応用されつつある.また最近,O157腸炎の内視鏡所見および組織所見に関する報告が散見されるが,内視鏡所見からは虚血性腸炎との鑑別が困難とするものが多い2〜5).一方,O157腸炎の超音波像についての報告はほとんどなされていないが,超音波検査は非侵襲的で,かつ簡便であり,O157腸炎の診断に有用であると考えられる.
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