オピニオン
臨床検査技師の道—この道は,責任を果たす喜び,臨床検査発展への道
鈴木 節子
1
1横須賀共済病院中央検査科
pp.812
発行日 1997年9月1日
Published Date 1997/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903221
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10年ひと昔といいますが,学校教育を終えて臨床検査技師として社会に踏み出す年齢は,人生のふた昔を経過した時点ということになります.私事となりますが,一般,化学,細菌と回って血液検査室に配属されて2〜3年経った技師生活10年目ごろ,指導いただいている医師から「10年仕事を続けたら,何かのまとめができるはず」といわれました.心にズキンときましたが,反面,他人事のような気もしました.平均寿命いっぱい頑張れば7つもの何かができることになります.必要に迫られ,文献を探し回ったり,先人の門を叩いたり,整理しているうちに思わぬ展開ができて,有頂天になったりしているうちに何十年かが過ぎました.見回せば,似たような環境で,こつこつと働いている仲間がたくさんいます.臨床検査技師の多くは,検査のノウハウ(道具)をたくさん身につけていますが,具体的に人の眼に触れるような形にせず,当たり前のようにその道具を駆使しています.このことが,不幸にも,良き理解者のはずの身近な職種の方々にさえ「検体検査は誰でもできる仕事である」として開放業務で事足りるような錯覚を起こさせてしまう要因になっていると思います.ただし,厳しい国家試験は行われているのですが.
臨床検査技師は,職務として個人・団体の両面でいかに細心の注意を注いでいるか,それが検査に極めて重要であることをことごとく文章化し,普遍化し,後輩にも社会にも示す必要があると思います.
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