技術講座 微生物
新しい腸管寄生原虫の検査
井関 基弘
1
1大阪市立大学医学部医動物学教室
pp.335-341
発行日 1997年4月1日
Published Date 1997/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903026
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新しい知見
最近,腸管寄生原虫症が世界的に注目されている.日本でも,水道汚染によるクリプトスポリジウム症の大規模な集団発生が起こったり,旅行者下痢症の原因としてランブル鞭毛虫症,メニール鞭毛虫症,腸トリコモナス症などの症例も増えているし,サイクロスポーラのように最近になって原虫であることが判明したものもある.微胞子虫症もエイズの日和見感染症として重要視されている.
診断は糞便材料から虫体を証明すれば確定するが,それぞれの虫種に適した方法を実施しなければ検出できない.例えば,クリプトスポリジウムは従来のホルマリン・エーテル法や直接塗抹法では検出不可能で,ショ糖遠心沈殿浮遊法や抗酸染色法が必須であるし,サイクロスポーラは蛍光顕微鏡で自然蛍光を観察したり,試験管内で約1週間発育させてみる必要がある.
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