増刊号 感染症検査実践マニュアル
Ⅱ.検査目的と検査内容
5.易感染性患者の検査
舟田 久
1
1金沢大学医学部附属病院高密度無菌治療部
pp.33-35
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902733
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はじめに―日和見感染の現状
感染防御能の低下した宿主(易感染性宿主;immunocompromised host)に起こる感染を日和見感染(opportunistic infection)と呼び,おおむね平素無害な弱毒の微生物(日和見病原体;opportunistic pathogen)が原因となる.基礎疾患や助長要因には,悪性腫瘍,放射線照射や免疫抑制,後天性免疫不全症候群(AIDS),手術,熱傷や外傷による物理的バリアの破綻,糖尿病や尿毒症などの代謝性疾患,異物の存在がある.抗腫瘍薬治療,臓器移植,抗菌薬治療の進歩は,寿命延長と裏腹に易感染性宿主の増加をもたらし,カテーテルや医用材料の汎用は菌,特に表皮ブドウ球菌の付着による異物感染を増加させている.
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