オピニオン
野茂投手のアメリカンドリームに想う
能勢 義介
1
1兵庫県赤十字血液センター
pp.498
発行日 1996年6月1日
Published Date 1996/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902705
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外国へ行ったのは23年前,台北市の台湾大学医学部へ協同研究の打ち合わせで海外出張したのが最初であった.約1週間の滞在であったが異国での仕事への興味と,その土地での文化に触れたときは大きな驚きとともに,強烈な感動があった.特に小生の体験では若ければ若いほど,新鮮で感受性が強く,その後の人生に大きな影響を与えたように思う.1年後アメリカのノースカロライナ州にあるデューク大学の免疫学教室に4か月の短期間であったが,免疫学の研修を受ける機会を得た.
日本は一度就職すると定年までの永久雇用制と年功序列制で特に学歴社会が幅をきかせているが,アメリカでは個人との契約社会で,個人の能力,実績が最も重要で,性別,年齢,肩書き(身分,地位,学歴)などは無縁の実力社会である.裏を返せば努力すればするほど報われる社会でもある.小生もこの期間中,世界中の研修仲間から実績が認められたことにより当初の2倍の給料が与えられた.そういった日本の学歴社会と異なる自由奔放な,いわゆるアメリカンドリームといわれる土壌がこの国にあったのである(最近ではドジャースの野茂投手が良い例).
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