オピニオン
技師諸君,臨床現場に出向こうではないか!
中原 一彦
1
1東京大学医学部臨床検査医学
pp.470
発行日 1996年5月1日
Published Date 1996/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902694
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わが国における臨床検査は今や世界のトップ・レベルにあり,そのような環境で働くことができるのは大変幸せなことだと思う.しかし一方では,急速な機械化,オートメーション化やコンピュータ・システムの導入,それに伴う大量の検体処理,検査結果の迅速返却,省力化など以前と比べて,また新たな対応を迫られるようになってきている.そのような中で,日常の業務に追われて,つい自分を見失ってしまいがちにならないように努力することも非常に大切なことだと思う.つまり,自分が臨床の場でいかに大切な位置にあるか,自分たちが扱っている検体がいかに貴重なものであるか,そんな基本的なこともつい忘れがちになってしまっていないだろうか.
さて,私がここで提案したいのは,臨床検査技師諸君はもっと臨床の現場に出向くべきである,ということである.臨床現場に出向くといってもいろいろな方法があると思う.例えば,私が以前在籍していた杏林大学では,毎日午後3時になると,当番の技師諸君が割り当てられた病棟に出向き,医師からオーダーのあった,翌日の採血用試験管の準備を行っている.たったこれだけのことであるが(とはいえ日常業務を中断して出向くわけであるから,やはり相当な努力を伴うが),このことにより,実際に病棟の雰囲気を肌で感じることができる.
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