トピックス
NO産生能と血圧
池田 宇一
1
1自治医科大学循環器内科
pp.1012-1013
発行日 1995年11月1日
Published Date 1995/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902560
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内皮由来血管弛緩因子(EDRF)の本体が一酸化窒素(nitric oxide;NO)またはNO類似の物質であることが明らかにされて以来,NOについての研究が急速に発展してきた.生理活性物質であるNOの産生は,生体内ではNO合成酵素(NO synthase;NOS)によって行われる.NO合成酵素は,アミノ酸の一種であるL-アルギニンを酸化してL-シトルリンとNOを産生する.現在,NO合成酵素には,脳や脊髄に存在するnNOS,マクロファージや血管平滑筋細胞に存在するiNOS,血管内皮細胞に存在するeNOSの3種類が知られている.
血管内皮細胞から放出されるNOは血管平滑筋細胞のグアニル酸シクラーゼを活性化し,cGMPを産生させることにより,平滑筋の弛緩を生じる.NOは血管トーヌスの調節機構を介して,高血圧の発症,維持に深く関与している可能性が考えられる.
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