原著
子宮頸部扁平上皮癌のin vivoおよびin vitroにおけるTA−4産生能
野沢 志朗
1
,
小島 雅彦
1
,
蔡 篤仁
1
,
酒依 元子
1
,
宇田川 康博
1
,
栗原 操寿
1
Shiro Nozawa
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.599-604
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207219
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扁平上皮癌に特異性の高い腫瘍マーカーといわれているTA−4につき臨床的,基礎的検討を行った。①子宮頸部扁平上皮癌患者35例の血清TA−4陽性率は,0期およびIa期で0%,Ib期37.5%,II期67%であった。なお,健常婦人血清は全例cut off値(2.0ng/ml)未満であった。卵巣mucoepidermoid carcinomaと子宮体癌で各1例血清TA−4陽性例がみられた。②子宮頸部扁平上皮癌の免疫組織化学によるTA−4染色では,角化癌,大細胞非角化癌は全例陽性に染色されたが,小細胞癌では8例中5例の陰性例がみられた。正常扁平上皮では表層および中層が陽性であった。また正常頸管腺細胞で陽性例を1例認めた。③子宮頸部扁平上皮癌株4種(SKG-I, II, IIIa, IIIb)の培養液中,cytosol分画中にTA−4を検出した。単位蛋白当たりTA−4産生量はSKG-III, II, Iの順に高く,免疫細胞化学によるTA−4染色陽性細胞の出現率もほぼ同様であった。
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