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細胞接着因子と疾患
中嶋 千晶
1
1大阪市立大学医学部臨床検査医学
pp.398
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902007
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人間に代表される多細胞生物においては,その体制の構築と安定化に必要な精密な細胞間ネットワークが存在するが,細胞同士の相互作用をつかさどっているのが,細胞接着因子である.細胞接着因子についての研究の最近の進展により,基底膜をはじめとする組織の構築のみならず,細胞の分化,増殖や,機能調節にも重要な役割を担っていることが明らかとなってきた.
まず,免疫系に対する作用としては,臓器移植の拒絶反応にかかわっており,細胞接着因子に対する抗体の投与により免疫学的寛容が誘導され,移植片の生着の延長が認められているほか,自己免疫疾患での関与も認められている.さらに,白血球の血管内皮細胞への接着,ローリング現象に関与することから,リンパ性白血病や悪性リンパ腫とのかかわりや粥状動脈硬化における役割が注目されており,心筋虚血再灌流障害が抗接着因子抗体によって抑制されることが報告されている.
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