増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅲ.血漿蛋白
3.アポ・リポ蛋白
(1)アポ蛋白
武内 望
1
1愛媛大学医学部臨床検査医学
pp.189-191
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901935
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■アポ(リポ)蛋白の種類と機能
脂質は水に溶解しにくいため,血清中では両親媒性のアポ蛋白が脂質と結合し,リポ蛋白を形成して溶存している.アポ蛋白の種類はアルファベット順にAよりHまであり,その幾つかには表1に示したサブクラスおよびアイソフォームが存在する.主要アポ蛋白の分子量や機能,正常値などは表1に記載した.そのうち臨床的意義が確立し,日常実際に測定されているものはA-Ⅰ,A-Ⅱ,B100,B48,C-Ⅱ,C-Ⅲ,E,apo(a)である.A-Ⅰ,A-Ⅱは高比重リポ蛋白(HDL)を構成するアポ蛋白であり,HDLが末梢組織中のコレステロール(Ch)を取り込み,Chの処理臓器である肝臓へ運ぶため(Ch逆転送),抗動脈硬化因子とされている.一方,B100は肝で合成され,超低比重リポ蛋白(VLDL)や低比重リポ蛋白(LDL)の骨組みとなっている.これらは肝の脂質を末梢へ転送するが,過剰になると末梢組織にChが蓄積されやすいため,動脈硬化の促進因子と位置づけられている.B48はB100のN末の48%の部分に相当し,小腸で合成されてカイロミクロン(CM)を形成し,食物より吸収された脂質の運搬に役立っている.またapo(a)はB100にプラスミノーゲンに特有なクリングル構造が幾つも連なって結合しており,apo(a)から形成されるLp(a)はLDLとは別個に独立した動脈硬化促進因子とみなされている.
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