検査データを考える
PT,APTT延長
粉川 皓年
1
,
野村 昌作
1
1関西医科大学第一内科
pp.231-234
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901833
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はじめに
凝固系の異常の基づく出血は特徴ある臨床症状を呈することが多く,診断に際してはそれぞれの特徴を十分の理解し,適切な検査法を選択することが必要である.凝固系の検査にはいくつかの種類があるが,中でも基本となるのは,プロトロンビン時間(PT)と活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の2つの検査である.PTは,主に外因系凝固(第Ⅶ因子,Ⅹ因子,Ⅴ因子,Ⅱ因子,フィブリノゲン)の機能を反映し,APTTは主に内因系凝固(第ⅩⅡ因子,プレカリクレイン,高分子キニノゲン,ⅩⅠ因子,ⅠⅩ因子,Ⅷ因子,Ⅹ因子,Ⅴ因子,Ⅱ因子,フィブリノゲン)の機能を反映する凝固検査である.いずれの検査も,各種凝固因子の欠乏症・異常症の診断に用いられたり,あるいは凝固因子が肝臓で生成されることから肝疾患の診断に用いられたりしている.また,第Ⅶ因子,Ⅹ因子,Ⅱ因子,フィブリノゲンの4因子の産生にビタミンKが関与することからビタミンKの拮抗剤である経口抗凝血剤(ワーファリンなど)療法のコントロールの指標としても普及している.
APTTは,第ⅩⅡ因子(接触因子)を十分に活性化するために試薬中の活性化剤を加えて実施する部分トロンポプラスチン時間(PTT)のことで,PTTよりも短時間にしかも安定した成績が得られるのが特徴である.
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