増刊号 よくある質問にパッと答えられる—見開き! 検査相談室
血液
凝固異常を示唆する出血が認められないのにAPTTが延長する場合の原因は何ですか?
松田 将門
1
1新潟大学医歯学総合病院検査部
pp.342-343
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202627
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
APTT延長の機序を考える
血液凝固反応はリン脂質とCa2+を要する,凝固因子の連続的な活性化反応である.活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系および共通系凝固因子がかかわる凝固反応を反映する.APTT延長の機序には凝固反応進行に必要な要素の不足,進行を阻害する物質の存在が考えられる.前者の例には血友病に代表される凝固因子欠乏があり,後者の例には凝固因子に対する抗体を発生する後天性血友病,活性化凝固因子に結合する薬剤の使用,リン脂質に対する抗体をもつ抗リン脂質抗体症候群などがある.これら各要因の性質を考慮することで効率的に原因検索ができる(図1).なかでも,被検血漿に正常血漿を添加してAPTT延長の“補正の可否”を評価するクロスミキシング試験は有用である.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.