トピックス
染色体,DNA分析と病理組織診断
土橋 洋
1
1大阪大学微生物病研究所発癌遺伝子部門
pp.81-82
発行日 1994年1月1日
Published Date 1994/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901791
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古典的な病理学の分野に,分子,遺伝子の概念が導入されたのは1941年のことであった.この年,鎌状赤血球症ではβ鎖,6番のアミノ酸に置換が生じていることが発見され,その疾患の実体が分子レベルで明らかになったのである.
その後1960年代に入り,“分子病理学(molecular pathology)”の名称が学術雑誌などでも用いられるようになり,疾患を分子レベルで解明しようとする分子病理学の立場もしだいに普及していった.当初は,病理学のイメージのみで片づけられていた疾患を分子機序で解明し,その病因論に迫ろうという立場であった分子病理学が,近年急速な進歩を遂げた結果,病理診断への応用という形となり,両者はより密接なかかわりを持つようになった.
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