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自己末梢血幹細胞移植
髙松 泰
1
,
原田 実根
1
1九州大学医学部第一内科
pp.758-759
発行日 1993年8月1日
Published Date 1993/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901660
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抗白血病剤の多剤併用や新しい抗白血病剤の開発,支持療法の進歩により急性白血病の寛解到達率は80%にも達しているが,その大半は再発し,長期寛解生存の可能性は依然として20〜30%である.抗白血病剤の投与量を増すことにより抗白血病効果を高めることが期待できるが,同時に治療による骨髄抑制も強くなり,dose escalationには限界がある.このような骨髄抑制に対して,あらかじめ保存しておいた自己の造血幹細胞を移植し造血回復を図ることにより,従来の治療量を超える超大量化学療法/放射線照射が可能となり,これによって抗白血病効果の増強および治療成績の向上が期待できる.近年,急性白血病や悪性リンパ腫などの血液悪性疾患に対し,骨髄もしくは末梢血中の造血幹細胞を凍結保存し,骨髄致死的な化学療法/放射線療法後に解凍,輸注する自家骨髄移植(autologous bone marrow transplantation;ABMT)や自己末梢血幹細胞移植(autologous blood stem cell transplantation;ABSCT)が試みられている.
造血幹細胞は,骨髄中のみならず末梢血中にも存在するが,その頻度は正常人では骨髄の約100分の1である.しかし,末梢血中の造血幹細胞数は化学療法後の造血回復期に一過性に増加する.
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