技術講座 病理
走査型電子顕微鏡の病理診断への応用—試料作製法を中心として
岩坂 茂
1
,
岡 輝明
1
,
町並 陸生
1
1東京大学医学部病理学教室
pp.591-595
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901619
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サマリー
生体の形態や構造を観察する場合,私たちはまず,それらを肉眼的に観察し,さらに細部の構造観察のために光学顕微鏡を用いるが,光学顕微鏡には0.2μmという解像力の限界があるため,それより細かい微細構造の観察は電子顕微鏡に頼らざるをえない.病理診断のためには,従来から透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)が多く利用され,大きな成果を上げてきた.しかし,近年走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)の性能も飛躍的に向上し,病理学の分野でも応用範囲が広がり,光学顕微鏡とSEMあるいはTEMとSEMを併用することによる病理診断における有用性が論じられている.
本稿では,ヒトの生検,剖検材料を取り扱う場合の試料作製法を中心に解説し,いくつかの応用例を示す.
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