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実験講座
走査型電子顕微鏡のための浮遊系生物試料作製法
Preparative method for suspended biological materials for Scanning Electron Microscope
筒井 潔
1
,
公文 裕巳
1
,
市川 弘幸
1
,
俵 寿太郎
1
Kiyoshi Tsutsui
1
,
Yuji Kumon
1
,
Hiroyuki Ichikawa
1
,
Jutaro Tawara
1
1岡山大学医学部ウイルス学教室
pp.302-308
発行日 1977年8月15日
Published Date 1977/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425903200
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Ⅰ.目的
リンパ球,赤血球などの遊離細胞あるいは(液体培養した)各種微生物類などの,いわゆる浮遊系生物試料の表面構造を走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)で観察しようとするとき,これら試料の作製法は必ずしも容易ではなく,また確立された方法もない。そのため研究者各自により種々の方法1〜12)で試料作製が行われている。それはその問題点がつぎのような点にあるからである。たとえばカバースリップ上に単層に培養された培養細胞では,固定するにはそのままカバースリップごと細胞を固定液中に浸せばよく,また同様に脱水・乾燥などの処理を施せば,難なく試料を作製することができる。ところが,細胞懸濁液を出発材料として試料を作製しようとすると,これら浮遊細胞を物理的原因などによる試料の変形,あるいは微細構造物の逸脱を来たすことなく,いかにして支持体あるいは下地(培養細胞におけるカバースリップに匹敵するもの)に付着させるかという問題が生じてくる。この点においてさまざまな工夫が必要とされ,SEM観察用試料の作製が容易ならざるものとなるゆえんである。しかも,観察するまでには何らかの方法で試料を支持体へ付着させる技術上の必要性があり,一連の作製過程のうち,なるべく最初の時期に付着させる方が無用な物理的変形を回避できる点で,また簡便・迅速さから考えても望ましい。
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