増刊号 臨床化学実践マニュアル
V.分析基礎技術
11.その他の分析法
(1)ドライケミストリー
岩田 有三
1
1富士写真フイルム(株)朝霞研究所
pp.328-333
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901560
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はじめに
ドライケミストリーとは分析に必要なすべての試薬が乾燥状態で保存されていて,測定時に液状試料(血液や尿)を供給するだけで結果が得られる分析方法といわれている1).現在,ドライケミストリーの分析素子の形態として多層分析フィルム,試験紙,使い捨て電極,磁性体などがあり,基本的には1枚または1個の分析素子で1検体1項目の測定ができる使い捨て型である.ドライケミストリーは分析素子と専用機器の組み合わせで臨床検査システムが構成され,測定対象は生化学,薬物,免疫項目,血液凝固に及んでいる.検体の水分だけで反応が進行するので検査システムとして数多くの特徴,利点を有するため,日常検査,緊急・即時,在宅検査などに広く普及している.ドライケミトリーの原理,方式,評価結果については今まで多くの総説2〜5),報告6,7)がある.ドライケミストリーが普及する一方,生化学項目における外部精度管理において測定値が液体法と乖離することが報告されている.ここでは生化学検査項目を対象としたドライケミストリーの精度管理上の特性を中心にまとめた.
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