増刊号 臨床化学実践マニュアル
I.緊急検査への対応
7.ビリルビン
鈴木 優治
1
1埼玉県立衛生短期大学衛生技術学科
pp.32-34
発行日 1993年4月15日
Published Date 1993/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901478
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■ビリルビンの生成
血清ビリルビンは主に赤血球の破壊により生じるヘムに由来する.ヘムは脾,肝,骨髄などの網内系細胞においてポルフィリン環の開環を受け,ビリベルジンが生成される.次いで,ビリベルジンはビリベルジン還元酵素により還元され,ビリルビンが生成される1,2).ヒトのビリルビンはビリルビンⅨαであり,肝において処理される.
網内系細胞において生成されたビリルビンは非抱合型ビリルビンと呼ばれ,水に不溶である.そのため,大部分は血清アルブミンと結合し,血液を介し肝に輸送される.肝細胞類洞膜に達したビリルビンはここでアルブミンから離れ,肝細胞に取り込まれる.この際ビリルビンは肝細胞内に存在する移送蛋白であるY蛋白(リガンディン,分子量48〜49kd)あるいはZ蛋白(分子量11kd)と結合し,ミクロソームまで移送される.ここでビリルビンは主にビリルビンUDP-グルクロニルトランスフェラーゼ(bilirubin uridine 5'-diphosphate-glucuronyltransferase)によりグルクロン酸抱合を受ける.
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