増刊号 尿検査法
II.各論
19.ホルモンおよび関連物質
1)下垂体関連
(2)黄体形成ホルモン
田坂 慶一
1
1大阪大学医学部産科婦人科学教室
pp.196-197
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901116
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はじめに
黄体形成ホルモン(LH)は脳下垂体より分泌され,性腺刺激作用を持つ卵胞刺激ホルモン(FSH)が主に卵胞発育を促すのに対し,LHは主に排卵前に働く.LHは上位中枢の視床下部黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRHまたはGnRH)により促進的な調節を受けている.LHRHは60〜90分間隔の律動的刺激となっており,LHもそれに応じて律動性分泌となっている.年齢別では小児期は比較的低値で律動分泌も欠如しているが,思春期に夜間よりLH律動的分泌が始まり,やがて昼夜に及ぶ.性成熟期にはLHの分泌は卵巣周期性変化とともに変動し,閉経とともに卵巣ホルモンによる抑制がとれて高値となる.性周期では卵胞期および黄体期には比較的低値であるがFSHにより卵胞が発育し,エストロゲンが一定以上産生されるとLHがスパイク状に分泌される.
血中,尿中LHを検査したりその評価をする場合には以上のことを念頭におき,検査する目的に応じ,患者の年齢,背景を考慮して検体採取日を設定し,評価に当たってもそれらの条件を考慮しなければならない.現状では下垂体機能の評価は,月経5〜7日目の血中LH値で行われている.単に下垂体機能検査として尿中LHを測定し評価することはほとんどない.最近は不妊症の治療に際し排卵予知に尿中LHを指標とする機会が多くなっている.
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